水
パンに使用する水の量と質は、パンの出来具合を左右する重要な要素です。
水の役割
①溶剤として必要
実際にパン生地を仕込む際には何種類かの材料を使用します。
→砂糖、食塩、イースト、モルト、小麦粉などなど。
これらの材料を均一に分散させたり
砂糖やイーストなどを溶かし、イーストの栄養分を供給します。
*イーストは溶液にならないものは食物とはならない。なので溶かす必要があるということです。
②グルテンを作る
小麦粉のたんぱく質は水分がなければ、グルテンにはなりません。
水分と結合してグルテンになり、パンの骨格を作っています。
③デンプンを膨らませて、パンの構造を作る
パン生地やパンにおいてのデンプンは、グルテン組織の隙間を埋める役割をしています。
中身がしっかりないとパンにならないということですね。
④生地の温度を調節する
生地を仕込む際に、水温を調整することで、目標生地温度に捏ね上げ、その後の発酵をスムーズに行うことができます。
この水温の調整はかなり重要ですのでもう少し掘り下げます。
水温の調整
①適切な仕込み水の温度
なんで、パン生地を仕込む際に、水温を上げたり下げたりする必要があるの?
→水温を調節することで、生地が捏ね上がったときの生地の温度(捏ね上げ温度)を調整して、イーストの活性を促すためです。
つまり、発酵に関わっています。
もっと言えば、発酵時間に大きく関わっています。
捏ね上げ温度は室温、材料の温度、ミキシングの時間などによって左右されます。
その中でも水温を調節することでコントロールするのが最も安易な方法です。
捏ね上げ温度は何℃くらいにすればいいの?
→通常は、20〜30℃の範囲
季節によって、室温がかなり異なります。水温を調節するだけでは、目標の捏上温度になりません。どうすれば、、、?
→生地に配合する他の材料の温度を調節したり、捏ねる際に使用するボールの温度を調節します。
冬だと温水を使用しますが、沸騰したお湯を使えばいいの?
→100℃に近い温水を使用してはいけません。
→イーストは45℃以上になると死滅し始めるからです。
②仕込み水温を求める方程式
仕込み水の温度はどうやって設定すればいいの?
一般的に利用されている方程式があります。
Wt(Water Temperature)水温
Do(Dough Temperature)捏ね上げ温度
Ft(Flour Temperature)粉温
Rt(Room Temperature)室温
FF(Friction Factor)摩擦係数(6〜7℃)
これは、ミキサーを使用して生地を捏ねる場合
使用する粉の温度、水温、室温の合計を3で割り、それに摩擦による生地温度の上昇分(6〜7℃)を加えたものです。
それが、①です。
水温を導いたものが②です。